【本日もDOO-WOP! vol.1】岡山県には地域特有の○○があった。

川遊びが消える日まで

その地域、その地域で名産や気候や歴史など、他にはない特有の”何か”がある。
私が育った岡山県は、温暖な気候や果物、日本庭園の後楽園、昔の白壁の街並みを残す倉敷などが有名だが、ここならではの特有の事故が多いことでも知られている。

岡山市には総延長約4000km、倉敷市には約2100kmにのぼる無数の用水路が街の中を張り巡っている。
子供の頃は、網を片手にこの小さな川で魚を追いかけたり、ザリガニを捕まえたものだが、用水路に転落する死亡事故が、全国でワースト1という事実を知り驚いた。しかし、納得もした。

なぜ納得したかというと「柵がない」、「蓋がない」用水路や溝が多いからだ。しかもこういう用水路の付近に限って、街灯がない場合が多い。
子供の頃から見慣れた風景だから、柵がないのも、蓋がないのも当たり前に思えていたが、よその街の人からすると「異常に見える」らしい。警察庁によると、2013年から2015年の間に用水路に落ちて死亡した事故は岡山県だけで79人。しかも歩行者の転落事故は、警察が取り扱う統計上の交通事故に該当しないことから、事故の全容が把握できていないというから、この人数が全てではないのかもしれない。

岡山県は『ストップ!用水路転落』をスローガンに、県と市町村、県警、消防が情報を共有しながら対策を講じることを目指して、2018年に「用水路転落のガイドライン」を作成したようだ。2019年度には用水路300カ所への安全対策も予定されている。

これから柵や蓋が用水路に設置されていくことだろう。子供の頃に見た風景がどんどん変わっていくのはさびしいものではあるが、人の命には代えられない。
これから生まれてくる子供たちは川に柵があるのが当たり前になることだろう。

コラム:JIMMY

伊集院 遥
人生の移ろいを感じながら、風のように生き、雨のように歌い、太陽のように人を照らしたい。