人生に翻弄される儚き歌姫 夢と引き換えに失ったものとは?!

ミュージックコラム vol.10
頂点からどん底まで、運命に翻弄されるDIVA

キャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」、1982年、当時、ヒットメーカーとも呼ばれる来生たかお作曲・来生えつこ作詞による『スローモーション』でデビューを果たした17歳の少女がいた。
オーディション番組「スター誕生」に3度も挑戦し、山口百恵の「夢先案内人」の歌唱で、同番組の史上最高点で合格。子供の頃から描いていた歌手の夢を彼女は執念と努力で掴む。

彼女の名は、中森明菜。

セカンドシングルは『少女A』。明菜の陰りのあるイメージとツッパリのイメージが重ね合わされ、じわじわとヒットチャートを上り、オリコン週間シングルランキングで最高位5位を記録し、”中森明菜”の名を世間に知らしめた。3枚目のシングル『セカンド・ラブ』では、前曲とはガラリと雰囲気を変え、愛する人にけなげに寄り添う女の子の気持ちをバラードで歌い上げ、初の1位に輝いた。

その後は、『北ウィング』『飾りじゃないのよ涙は』『ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕』など、次々にヒット曲を放ち続け、映画にも主演。さらにシングルだけでなくアルバムでも1位を獲得し続け、明菜の歌唱力と楽曲の完成度は高く評価されていった。

1986年に発売された『DESIRE -情熱-』では、年間チャート2位となり、第28回日本レコード大賞で前年に続き2度の日本レコード大賞を受賞。中森明菜は、まさに国民的歌手としての地位を手に入れようとしていた。

デビューから7年目の1989年7月、明菜の歌手生命も人生も変える事件が起こる。
当時交際をしていた近藤真彦が住むマンションで自殺未遂をはかったのだ。そこから約1年芸能活動を休止に追いやられる事になる。

1991年、明るく元気なイメージを印象付けようとポップなメロディーの『Dear Friend』をリリースし、1位を獲得。翌年にはフジの月9ドラマ「素顔のままで」に出演し、高視聴率を得て、最終回では、最高視聴率31.9%を記録。女優としても開花し、自殺未遂事件から順風満帆に復活を果たしたかのように見えた。

が、しかしである。

その後、明菜の周りではさまざまなトラブルが巻き起こり、スキャンダルで世間を騒がせていく。所属事務所とのトラブル、家族問題、レコード会社の移籍を繰り返すなど、彼女はすっかりトラブルメーカーのレッテルを貼られてしまう。活動もメディアへの露出が減り、シングルリリースも難しくなっていく。

歌姫からスキャンダルの女王へと、メディアは彼女の私生活ばかりにスポットを当てたがるが、中森明菜の黄金時代に残された楽曲には、当時の類まれなる才能を持った錚々たるアーティストたちが関わっている。
1985年に発表されたアルバム『BITTER AND SWEET』には、井上陽水、松井五郎、飛鳥涼が参加。
1986年12月24日発表の『CRIMSON』では、竹内まりや、小林明子らから楽曲を提供され、翌年の年間アルバムチャートで3位に。87年には全曲英語詞の『Cross My Palm』を発売し、クオリティの高さに圧倒される。

歌手を夢見ていた少女が、日本の頂点に立つ歌姫となり、思いがけず人生のどん底へ落ちていく。まさしく波乱万丈の人生である。

『BITTER AND SWEET』
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『CRIMSON』
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『Cross My Palm』
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新連載「歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡」
夕刊フジで11月11日スタート 毎週月曜日掲載

夕刊フジ(産経新聞社発行)が、11月11日(月)から、新連載「歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡」(毎週月曜掲載)を開始した。1980年代にヒット曲を連発したスーパーアイドル、中森明菜の波乱に満ちた生き様を描き出していくと言う。
連載第1回は前代未聞のレコード会社からの絶縁エピソードを取り上げている。

「彼女は、この業界に置いてはいけないアーティスト」―。
20年前の平成11年11月12日、この一言が芸能界に波紋を広げた。
発言の主は当時、明菜が所属していたレコード会社「ガウスエンタテインメント」の社長。

中森明菜の真実とは何か!? これからの彼女は、どこへ向かっていくのか!?
歌姫としての新たな希望や夢を再び取り戻して、私たちの前で強く儚く凛としたあの歌声を聞かせてほしいものである。

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コラムニスト:JIMMY

伊集院 遥
人生の移ろいを感じながら、風のように生き、雨のように歌い、太陽のように人を照らしたい。