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「性」から「生」の時代へ。森美術館「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」がアートを超えて面白い!

未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか

森美術館で開催された展示だが、残念ながら新型コロナウィルスの影響で3月29日までの開催終了日を待たずして終了してしまった。
この展示を観ることができた人はついているのかもしれない。
今回の展示は写真撮影が比較的OKなものが多い。80%以上のものが撮影可能なのではないかと思う。Instagramをはじめ、SNSへ写真や動画をアップできるという点でも楽しむことができる展示会となっている。

ただし、撮影したものを表記したりする際はガイドラインに沿って行うことが義務付けられているので注意が必要だ。

展示のテーマは4つに分かれている。AI、ロボット、都市、生命だ。
どれも近未来を予期させるようなものになっている。これから近い将来、どのようなことが私達の目の前に表出してくるのかを提示してくれる非常に示唆に富んだ内容になっている。

そのなかでも今回取り上げたいのは「生命」の展示だ。
特に私の関心が惹きつけたものは「赤ちゃん(ベビー)をつくるという概念をデザインする」というものだ。
長谷川 愛《シェアード・ベイビー》という作品に驚かされた。

通常、人間の赤ちゃんは、精子と卵子の結びつきによってできるというのは周知の事実である。それはあるAという人の卵子とBという人の精子で成立していることである。つまり、一人の赤ちゃんには2人(AとB)の遺伝子学上の親がいる。ということになる。そして、そのAとBは男性が1人、女性が1人ということになる。

近い未来にこの、「常識」とも言えるようなことが変化する。「今まで通りの常識」はそのまま存在するが、それに加わる形で多様な「生」の生まれ方が加わっていくという。

現代社会が直面している、注目している問題の一つとして多様な「性」のありかたについてというものがある。「性別は男性と女性の2つのみ」という性の常識から、男性、女性以外の多様な性の存在を認知した社会へ変化しようとしている。

いまは、「性」について考える時代なのかもしれない。展示物はそれが近い将来には、今の「性」の多様性をベースしつつ、「生」について考える時代へ移行していくということを示唆している。

多様な「性」から多様な「生」へ関心が移行していくためには、今現在の多様な「性」についての問題を解決し、「常識」として定着させていくことが重要になってくる。

では、多様な「生」とは何なのかということについて述べていきたい。多様な「生」は、多様な方法によって、「生」を生み出していくという試みである。まだ、具体的な詳細については展示物からは理解できなかったが、例えば、同性カップルそれぞれから精子と卵子を作り出して子どもを作る方法や、1つの卵子と複数の精子から(Aさん、Bさん、Cさんといった具合に)3つ以上の遺伝子から子どもを作りだす方法が確立される。親が同性2人というような常識を超えて、親が3人いる、であるとか、親が5人いるというのは子どもが誕生することを示唆している展示だった。

長谷川 愛《シェアード・ベイビー》 2011/2019年

長谷川 愛《シェアード・ベイビー》 2011/2019年

長谷川 愛《シェアード・ベイビー》 2011/2019年

まさに、なんでもあり。多様性に満ちたもので、方法と、それに伴う結果をどのように解釈していくかが問われる。もちろんこうした動きについて反対する声もあるだろう。
しかし、こうした多様性は押し付けられるものではない。あくまで、多様な選択が提示されているにすぎない。の多様な選択の中で、どのような方法を選び出して「生」を作り出していくのかということを考えれば良い。従来どおりの「生」の作り方で良いのであればそれを選択すれば良い。大切なのは、従来の「生」を作り出す方法では要望を満たすことができなかった人、抜け落ちていた人たちの選択が「諦める」ということから、方法を「選択する」ということへ変わっていくことであると思う。

そこまで遠くない未来に、我々の「生」を生み出す方法は「性」を超えて進化していくにちがいない。

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長谷川 愛《シェアード・ベイビー》
2011/2019年
インスタレーション
サイズ可変展示風景:「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」森美術館(東京)、2019-2020年
撮影:木奥惠三

 

コラムニスト GORILAX
大学院卒 学術修士。ふと、湧きだす好奇心から、いろんなセカイを巡るのが好き。実際に現地に足を運んで、海外のイベントや食、文化についてのコラムを執筆したり、国内の「面白いもの」について紹介していきます。

 

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