ある事象説明に対して「わかりやすい動画だった」というものが怖いと感じている。

「わかりやすい」という動画は「正しい情報」の動画なのか

youtubeなどで多くの人が解説動画を作成していたりする。そして、そうした動画を「わかりやすくておすすめ」というようにレコメンドする人も多い。でも私はそうした動画を見たいという思いよりも、その動画から間違った印象や、情報を摂取してしてしまうことに対して怖いと感じる。

多くのyoutuberは文献等の資料を通して動画を作成しているので、「根拠ある」動画として成立させようとしている。そうした動画はわかりやすい。ここでいう「わかりやすい」というのはどちらかというと「シンプル」であったり、「単純化」させることで「わかりやすさ」を成立させているように思える。しかし、ここに違和感がある。

難しいにはわけがあると思う

文献や資料を使用すればそれが「根拠ある」ものであるということは、なかなか実証することはできない。また、その「根拠ある」参照が必ずしも適切な解釈のもと行われているのかという点が曖昧である。

ある事象や思想を説明しようとするとき、それをより緻密に深いものにしようとすればするほど、説明は長くなるし、語彙も多くなる。もちろんそこに狭い意味を定義された「学術用語」も頻出したりする。より相手に正確に伝えようとすればするほど文章は長く、難しいものになる傾向がある。これは仕方がないことだと私は思っている。そして、そうしたわかりにくい文章は時として誤読や誤解を招くことがある。

早さと楽の代償を認識しているか

専門的な知識や読書力を駆使せず、素早く事象を理解しようとすればするほど、そうした落とし穴にハマりがちになるのではないかと思う。

戦争や紛争といったものを見る場合、そこには様々なイデオロギーが介在する。だからこそ、その地域の変遷や情報をよく理解してから問題事象を見ていくことが必要であると思う。では、どのような情報にアクセスすればよいか。

とりあえず「○○を知るためのの△△章」を読んでみる

地域や国ごとの情報を理解する上での助けになり、おそらく多くの地域研究者が入門的な知識を手に入れる際に使用している文献に明石書店の「○○を知るためのの△△章」というものがある。

下記のようなもので、その地域の研究を行っているトップ研究者がそれぞれの章を担当して書いているので、信頼性は高く、わかりやすくまとまっている。

  • 服部 倫卓, 原田 義也 編(2018)『ウクライナを知るための65章 (エリア・スタディーズ169)』明石書店
  • 下斗米 伸夫 , 島田 博 編(2012)『現代ロシアを知るための60章【第2版】 (エリア・スタディーズ21)』明石書店
  • 下斗米 伸夫 編(2016)『ロシアの歴史を知るための50章 (エリア・スタディーズ152) 』明石書店

シリーズで様々な地域のものがあるので、興味がある地域の本を選んぶのもおすすめの読み方だと思う。

GORILAX
コラムニスト ふと湧きだす好奇心から、いろんなセカイを巡るのが好き。実際に現地に足を運んで、海外のイベントや食、文化についてのコラムを執筆したり、国内の「面白いもの」について紹介していきます。社会学、文化人類学の視点からもアプローチしていきます。