プロフォトグラファーがライカで撮り下ろした作品満載のフォトエッセイ『ライカで紡ぐ十七の物語』刊行
一枚の写真が生まれる瞬間、フォトグラファーの心にはどのような風景が広がり、どのような葛藤や悦びが渦巻いているのでしょうか。プロフォトグラファー・南雲暁彦氏の新刊『ライカで紡ぐ十七の物語』は、その深淵を覗かせてくれる、稀有なフォトエッセイです。
伝説から最新まで、17本のレンズが語る個性
本書の縦糸となるのは、時代も国も異なる17本のライカマウントレンズたちです。1950年代に生まれた伝説的なオールドレンズの甘い描写から、現代の技術の粋を集めた最新レンズの鋭い切れ味まで、そのセレクションは圧巻の一言に尽きます。
南雲氏は、それぞれのレンズが持つ「声」を聴き、その個性を最大限に引き出すための舞台を丹念に作り上げていきます。被写体は何か、ロケーションはどこか、そして光が最も美しくなるのはいつか。ページをめくるたび、私たちはまるで彼の思考を追体験するように、一つの作品が結晶化するまでのプロセスに立ち会うことになります。
機材レビューを超えて。創作へと至る、心のドキュメント
「このレンズは解像度が高い」「ボケが美しい」——。巷に溢れる機材レビューとは、本書は一線を画します。ここで綴られているのは、スペックシートの数字では決して語られることのない、撮影者の内なる対話なのです。なぜこのレンズで、この被写体を撮らねばならなかったのか。シャッターを切る瞬間に何を想い、写真として定着させることで何を表現しようとしたのか。それは、一人の写真家が被写体と、そして自分自身と深く向き合い、表現へと昇華させていく過程を記録した、生々しくも美しいドキュメントと言えるでしょう。プロの現場の緊張感と、創作の根源に触れるような発見が、ここにはあります。
一冊の写真集として、ページをめくる悦び
本書のもう一つの主役は、ふんだんに掲載された写真作品そのものです。銘玉と呼ばれるレンズたちが、南雲さんの技術と感性を通して描き出す光景は、息を呑むほどに美しく、その中にはどこか儚さが漂い、観る者の心に深く染み入ってきます。
これは、ライカという名のレンズを通して、世界と、そして自分自身と対話した17の物語。ライカファンや写真愛好家はもちろん、すべての「表現する人」の心に響く、珠玉の一冊です。
著者:南雲暁彦 / Akihiko Nagumo
TOPPAN株式会社 チーフフォトグラファー「匠」
1970年 神奈川県出身 幼少期をブラジル・サンパウロで育つ。日本大学芸術学部写真学科卒
世界遺産を中心に世界約300都市での撮影実績を持つ。風景から人物、スチルライフとフィールドは選ばない。
著書に「Still Life Imaging スタジオ撮影の極意」「IDEA of Photography 撮影アイデアの極意」(ともに玄光社)
APA会員。知的財産管理技能士。多摩美術大学統合デザイン学科・長岡造形大学デザイン学科非常勤講師
ライカで紡ぐ十七の物語
著者:南雲暁彦
発売日:2025年10月16日全国発売
判型:A5判・224頁
定価:本体2,500円+税
出版元:株式会社玄光社
ISBN:978-4768330425
Amazon販売ページ:https://amzn.to/4nRvO8V
















