フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展。鬼海弘雄が撮らえた、若き日の坂東玉三郎。40年の時を経て蘇る「幻のポートレート」初公開


『PERSONA』前夜。31歳の写真家と26歳の歌舞伎役者、二つの魂が共鳴した1976年の記録。


人生でいちばんの贅沢なあそびは、表現することかもしれない
鬼海弘雄『PERSONA 最終章』まえがきより

「人」「人格」「役割」を意味するラテン語「ペルソナ 〔persona〕」に由来。もともとは古代演劇で役者がつけていた「仮面」を指す。鬼海弘雄は1973年から45年間、 浅草・浅草寺境内で人びとのポートレイトを撮影。同シリーズの第一弾は「王たちの肖像」として発表される。1999年、鬼海の作品に魅せられた映画監督アンジェイ・ワイダの招きによってポーランドで開催された展覧会にて、初めて「PERSONA」の呼称が使われ、以降、鬼海とそのポートレイトの代名詞となる。 本展タイトルもこれに倣った。


 

東京・浅草。市井の人々の肖像を圧倒的な強度で切り取った連作「PERSONA」で、世界的な評価を得る写真家、鬼海弘雄。 その彼が、プロの写真家として世に名を馳せる以前、一人の「天才」と対峙していたことをご存知でしょうか。
その被写体とは、五代目 坂東玉三郎。 1976年に撮影され、長きにわたり封印されていた貴重なヴィンテージプリントと、残されたネガから厳選されたモダンプリント計25点が、このたび初公開されます。

26歳と31歳。若き才能の邂逅
時計の針を1976年に戻しましょう。 当時、玉三郎は26歳。歌舞伎役者としてすでに不動の名声を獲得しながらも、マクベス夫人や三島由紀夫の『近代能楽集』など、西洋の古典や近代劇へ精力的に挑み、表現者として新たな地平を切り拓いていた時期でした。
一方、鬼海は31歳。まだ「PERSONA」という代名詞を持たぬ彼が、玉三郎の兄からの依頼を受け、5月から11月にかけて各地の公演に同行。 若き日の二つの才能は、レンズ越しに静かに、しかし熱く火花を散らしていたのです。

坂東玉三郎「通夜物語」1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎 楽屋 1976年 ©Hiroh Kikai

病床で記されたサイン。40年越しの「解禁」
鬼海の暗室で焼かれたプリントは、その後、長い間封印されていました。 これらが再び光を見たのは、撮影から実に40年後。 病床にあった晩年の鬼海が、かつて捉えた若き玉三郎の姿と向き合い、震える手でサインを施したことで、これらの作品は永遠の命を吹き込まれました。

坂東玉三郎「マクベス」1976年 ©Hiroh Kika

「PERSONA」の源流を探る
本展では、語り継がれる名演・マクベス夫人や『近代能楽集』における、息をのむほど美しい若き坂東玉三郎の姿を堪能できます。 と同時に、それは鬼海弘雄という写真家が、のちに「PERSONA」へと至るヴィジョン(視座)をいかにして獲得したのか、その源流を探る旅でもあります。
巨匠が遺した、知られざる初期の傑作。 その静謐で力強いまなざしに、ぜひ会場で触れてみてください。

坂東玉三郎「盟三五大切」(かみかけてさんごたいせつ)1976年 ©Hiroh Kikai
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展
鬼海弘雄写真展「PERSONA―坂東玉三郎」

開催期間:2026年1月5日(月)- 3月31日(火)会期中無休
(開館時間:10:00~19:00・最終日16:00まで・入館は終了10分前まで)
※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。ウェブサイト・電話でご確認ください。
会場:フジフイルム スクエア 写真歴史博物館
〒 107-0052 東京都港区赤坂9-7-3(東京ミッドタウン ミッドタウン・ウェスト1F)
TEL 03-6271-3350(受付時間:平日10:00~18:00)
URL https://fujifilmsquare.jp/guide/museum.html
※ 写真展情報は、開催日の前月から フジフイルム スクエアウェブサイトにて、ご案内しています。
※ 祝花はお断りいたします。

入館料 :無料 ※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料。
作品点数:ゼラチンシルバープリント 25点(予定)
主催:富士フイルム株式会社
企画協力:坂東玉三郎
後援:港区教育委員会
企画:鬼海弘雄写真事務所、テンポラリー・コンテンポラリー

出展者のプロフィール

鬼海 弘雄(きかい ひろお)

1945年生まれ。山形県寒河江市出身。
法政大学文学部哲学科に入学し、哲学者・福田定良氏の教えを受ける。卒業後、トラック運転手、遠洋マグロ漁船乗組員などさまざまな職業に携わりながら写真をはじめる。テーマを厳格に追い続け、1973年より浅草・浅草寺で人びとを撮影したほか、インド、東京の各地を撮り重ねた。
主な写真集に『PERSONA』『INDIA』『東京迷路』。
1993年、第3回伊奈信男賞を受賞。
2004年、写真集『PERSONA』で第23回土門拳賞受賞。
2020年没、享年75。

公式サイト:https://hiroh-kikai.jimdofree.com

五代目 坂東 玉三郎(ごだいめ ばんどう たまさぶろう)
鬼海さんとお目にかかりましてから、もう半世紀が過ぎました。私が20代の頃に、名古屋で初めて撮っていただきまして、その後も数々の舞台写真を撮っていただきました。 ここに展示されております「鶴の巣ごもり」、「盟三五大切」、「通夜物語」など、特に中日劇場で演じました「通夜物語」は大変印象深いものでございます。
鬼海さんは度々劇場に通われ素晴らしい瞬間を撮ってくださいました。ここに並んでいる写真は懐かしい当時を思い出させてくれます。

坂東玉三郎
歌舞伎役者、俳優、映画監督、演出家。東京都出身。
1957年12月、『寺子屋』の小太郎で坂東喜の字(きのじ)を名のり、初舞台を踏む。
1964年、十四代目 守田勘弥の芸養子となり、同年6月『心中刃は氷の朔日』のおたま他で五代目 坂東玉三郎を襲名。
2012年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。2013年、フランス芸術文化勲章コマンドール章受章。2014年、紫綬褒章受章。
歌舞伎界を代表する立女形(たておやま)であると同時に、女方として国内外のさまざまな舞台芸術に大きな影響を与え続けている。

公式サイト:https://www.tamasaburo-bando.com

福田 定良(ふくだ さだよし)
1917年生まれ、東京都出身。哲学者。2002年没、享年85。
1948年、法政大学教授に就任。1970年、学園闘争で辞職。生活者の感覚に根ざした哲学を追求したことで知られる。在任中の福田のもとで催されていた週一回の会合に、学生であった鬼海弘雄が参加。師弟の交流は福田が亡くなるまで継続し、鬼海は恩師から贈られたカメラを生涯にわたり愛用した。

■ 写真展併催イベント 
ギャラリートーク 2026年1月18日(日)14:00から・30分間(参加無料・予約不要)
ゲスト:鬼海たかこ(鬼海弘雄写真事務所代表)
聞き手:丸山有美(本展企画制作チーム、編集者) 
内容:父・写真家 、鬼海弘雄の想い出
※ 写真展会場内で実施、座席はございません。予めご了承ください。
※ 写真展・イベントはやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。

■ フジフイルム スクエア 写真歴史博物館  
~ 190年を越える写真の変遷を中心とした展示 ~
貴重なアンティークカメラや富士フイルムの歴代カメラの展示に加え、歴史的に価値のある写真を展示する企画展も定期的に開催しております。写真の文化、カメラの歴史的進化をご覧いただける希少価値の高い博物館です。190年を越える写真文化の変遷をぜひお楽しみください。
写真歴史博物館は、2025年、公益社団法人企業メセナ協議会より、「芸術・文化振興による社会創造活動」として「THIS IS MECENAT 2025」の認定を受けております。

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