没後5年、資生堂ギャラリーで紐解く伝説のアートディレクターの軌跡。初公開の原画や350冊の『花椿』が集結。
日本のグラフィックデザイン界に、唯一無二の足跡を刻んだ仲條正義(1933–2021)。その没後5年を迎える今年、資生堂ギャラリーにて特別な展覧会「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」が開催されます。
資生堂の文化誌『花椿』や、資生堂パーラーのロゴ、パッケージ。私たちの日常に溶け込みながらも、常に鮮烈な驚きを与えてくれた仲條デザインの本質。本展では、彼が生涯を通じて資生堂とともに世に送り出した傑作を厳選し、その「美の正体」に迫ります。
時代を突き抜ける、アヴァンギャルドな手描きの衝動
仲條正義の仕事は、単なるデザインの枠に留まりません。松屋銀座や東京都現代美術館のロゴなど、数多くの象徴的なデザインを手がける一方で、その精神は常に前衛的(アヴァンギャルド)であり続けました。
デジタルによる緻密な設計が主流となった現代において、仲條氏が描く自由な構成や温かみのある手描きの線は、いま再び、次世代のクリエイターたちに大きな影響を与えています。歴史の中から普遍的な美をすくいあげ、それを現代の感性で新たな形へと昇華させる。その一貫した姿勢が、彼の作品がいつまでも色褪せない理由なのです。
リズムを刻む「文字」と「画」の共演
「デザインはうたになる方を選ぶ」
生前、仲條氏が語ったこの言葉を体現するように、彼の手にかかれば、無機質な文字はリズムを持ってうたいだし、鮮やかな画はたちまちおどりだします。
とりわけ、40年にわたり手がけた『花椿』のエディトリアルデザインは、仲條デザインの真骨頂といえるでしょう。文字を造形として扱い、画と一体化させるその感覚は、和歌や琳派、浮世絵といった日本美術のDNAを現代的に解釈した姿ともいえます。文字と画が響き合い、誌面全体が一つの「うた」となるような、圧倒的なグラフィック体験がそこにはあります。
五感で触れる、圧倒的なボリュームの展示
本展では、資生堂が収蔵する膨大なアーカイブの中から約200点を厳選。広告ポスターやパッケージに加え、初出品となる貴重な原画も公開されます。
特筆すべきは、1982年から2011年までの『花椿』約350冊を一挙に公開するライブラリーコーナー。実際に手にとってページをめくることで、仲條氏が采配を振るった濃密なディレクションを、肌で感じることができます。
さらに、仲條氏を敬愛する若手デザイナー・山口崇多氏による映像作品の展示や、資生堂パーラー 銀座本店での限定メニューも。仲條氏が未来へ繋ごうとした「美の可能性」を、銀座の街全体で楽しむことができる特別な期間となります。
多様な価値観が交錯する今だからこそ、仲條正義の純粋で力強い仕事に向き合い、あらたな美の形を見つけてみませんか。
仲條正義(なかじょう・まさよし)
1933年東京生まれ。東京藝術大学図案科(現デザイン科)を卒業、1956年に株式会社資生堂宣伝部に入社。1959年同社退社、株式会社デスカ入社。1960年フリーとなり、1961年に仲條デザイン事務所を設立。1966年から2011年まで資生堂社の企業文化誌『花椿』を手がけ、資生堂パーラーのパッケージ、同社のブランドや企業文化活動のグラフィックなど多くの作品を精力的に生み出した。
資生堂パーラーでは現在も仲條デザインの商品が販売されているなど、その精神は資生堂社に生き続けている。資生堂ギャラリーでの仲條の個展は2012年に開催した「仲條正義展 忘れちゃってEASY思い出してCRAZY」以来2回目。東京ADC 会員最高賞、東京TDC 会員金賞、JAGDA亀倉雄策賞、毎日デザイン賞、毎日ファッション大賞・鯨岡阿美子賞、紫綬褒章、旭日小綬章ほか受賞多数。2021年10月26日没。
「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」
会期:2026年3月3日(火)~6月28日(日)
会場:資生堂ギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下 1階
TEL:03 -3572 -3901 fax. 03 -3572-3951
資生堂ギャラリー ホームページ:
https://gallery.shiseido.com/jp/?rt_pr=tru20
資生堂ギャラリー Instagram:
https://www.instagram.com/shiseidogallery/
資生堂ギャラリー X:
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開館時間:平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00
休館日:毎週月曜休 (月曜日が祝日にあたる場合も休館)
入場料:無料
主催:株式会社 資生堂
協力:仲條デザイン事務所
フライヤーデザイン:葛西薫
















