ある食べ物が永遠に存在し続けると思い込んでしまうこと

もう、あれから1年が経ってしまった

神戸で一番好きなケーキはなにか?と聞かれれば、御影高杉のガトーフレーズである。
神戸の人ならが愛するこのケーキが2017年9月30日をもって食べることができなくなってしまった。

お店が閉店してしまったからである。

販売が行き詰まり、経営難で閉店したであるとか、何らかの法に抵触するようなことをして閉店したわけではない。

御影高杉は神戸を代表する西洋菓子店で、そこでつくられるガトーフレーズと呼ばれるショートケーキは現代の名工に選ばれる一品だった。しかし、店は閉店してしまった。

閉店理由は簡単に言えば、今のレベルで作る職人の数を確保できず、現状のレベルを維持した形で作り続けることができなくなってしまったからだった。なんと、後継者の育成がうまくいかなかったのである。

人気の商品、多くの人に支持されている商品は永遠に生き続けると思っていたが、どうやらそうではないらしい。
消費者の支持を得ることよりも、その商品を作る人の維持が実はものづくりは重要であるということを改めて考えさせられる出来事だった。

美味しいと思うものがある時、突然姿を消すということは往々にして起こりうることである。
であるからこそ、自分の味覚に正直に、食べる機会があるのならば、ぜひ食べることをおすすめする。

今年のクリスマスはどこのケーキにしようか。悩ましい時期になった。

コウベランチタイムズ
https://kobe-lunchtime.com/mikagetakasugi-cake-close/

コラムニスト GORILAX
大学院卒 学術修士。ふと、湧きだす好奇心から、いろんなセカイを巡るのが好き。実際に現地に足を運んで、海外のイベントや食、文化についてのコラムを執筆したり、国内の「面白いもの」について紹介していきます。

GORILAX
コラムニスト ふと湧きだす好奇心から、いろんなセカイを巡るのが好き。実際に現地に足を運んで、海外のイベントや食、文化についてのコラムを執筆したり、国内の「面白いもの」について紹介していきます。社会学、文化人類学の視点からもアプローチしていきます。