『his』 好きだけではどうしようもない

愛する人との関わり、社会やコミュニティとの関わり、
何が誰にとって正しいのか?

いったい、求めているのは誰だろう?何を求めているのだろう?昨今、「LGBT」をテーマにする映画やドラマが非常に増えている。同性愛を描いた作品が次々につくられているのは、時代の変化のせいなのか、それとも単に世の中が「もういいんじゃないか」とささやいているからなのだろうか?
正直に語れば、中には端にも棒にも引っかからないような駄作も当然ある。ゲイを全く理解することなく茶化すだけ茶化して笑いをとろうとして、逆に寒くなるような作品もある。また、差別や心の葛藤を重視して重たく救いようのない作品もある。しかし、いちばん違和感を覚えるのは同性愛を特別なものとして捉えている作品だろう。当事者にとっては日常の出来事であり、同性に恋をすることは同然のことなのだから。

「愛がなんだ」や「アイネクライネハトムジーク」などリアルな恋愛を映し出していくことで定評のある今泉力哉監督が、男性同士のカップルの物語を撮った。が親権獲得や周囲の人々への理解を求めて奮闘する姿を描いたドラマ。
春休みに江ノ島を訪れた男子高校生・井川迅は、湘南の高校に通う日比野渚と出会う。2人の間に芽生えた友情はやがて愛へと発展し、お互いの気持ちを確かめ合っていく。迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と急に別れを告げる。
出会いから13年後、ゲイであることを周囲に知られないように田舎でひっそりと一人で暮らしていた迅だったが、ある日、6歳の娘・空を連れた渚が現れる。居候させてほしいという渚に戸惑う迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻と娘の親権を争っていることを明かし、「結婚して、子供も生まれて、この生活を大事にしていこうって誓ったんだ。でも、無理だった。俺、迅がいないと生きていけない。」と抑えきれない想いを迅に打ち明ける。
同性愛者の苦悩だけではなく、子供と父親の関係、妻と夫の関係、世の中とと自分といった様々な面での世間の常識との葛藤が描かれている。常識とはいったい何なのか。正しいこととは何なのか。
ここで描かれているのは、決してゲイカップルとしての問題だけではない、「人を愛すること」「生きていくこと」を同性愛者を通して伝える作品と言えるだろう。

『his』
2020 年1月 24 日(金)より 新宿武蔵野館ほか全国にて公開中

監督:今泉力哉 企画・脚本:アサダアツシ 音楽:渡邊崇
出演:宮沢氷魚 藤原季節 松本若菜 松本穂香
配給:ファントム・フィルム
©2020 映画「his」製作委員会

https://phantom-film.com/his-movie/

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