NYのステーキの味を体感し新たな味覚経験を発見する:ウルフギャングステーキハウス シグニチャー青山店

NY発の人気のステーキハウス

週末に電車に揺られながら自宅へ帰っていると、友人から「ステーキを食べにいかないか。」と誘われた。ウルフギャング・ステーキハウスというところらしい。ニューヨークのお店で高めのお店らしい。まぁ8,000円ぐらいのお店かなと思ってサイトを見ると、プライムステーキ(2名様用)が26,400円だった。予想をかなり超えたお値段に尻込みしつつもまあ、時には良いかということでOKした。どうやら当日予約はなかなか取れなかったようで遅めの21:00からのディナーになった。

ラグジュアリーな心地よい空間と料理

空き時間ができたのでディナーの前にジムに行ってしっかり体を動かして、シグニチャー青山店に向かう。お店の雰囲気からして、ちょっと普通のところとは違う感じがした。期待感が増す。

店内はお客さんでいっぱい。ステーキの良い香りがする。席に通されて注文をした。ノンアルコールカクテルもあるのでアルコールが飲めない私も楽しめた。ウルフギャングサラダ、プライムステーキ(2名様用)とジャーマンポテト、ロブスターマックンチーズをオーダー。そりゃ、価格に見合う旨さです。店員の接客も良いです。そして、ステーキ肉は熟成肉でとても美味しい。温かいレアで牛の香りを楽しむことができる。

ステーキが美味しいのはもちろんだが、ロブスターマックンチーズ(左奥)もジャーマンポテト(右奥)もびっくりするぐらい美味い!

ちがう!ステーキソースだから!

ステーキといえば、ソースですがウルフギャングには特製のステーキソースがある。友人はこのソースを「昔ながらのステーキソース」と評した。彼はオーストラリアやニューヨークに住んでいたこともある。もちろんニューヨークにいたときはウルフギャング・ステーキハウスに行っていたようだ。アメリカのステーキソースの定番的な味とのことだった。私も、そのソースを付けて食べてみる。「これ、ケチャップじゃね?」と私が発した途端、友人から即否定が入る。「ケチャップではないよ、これがステーキソース」と。どうやらケチャップではないらしい。トマトベースの甘酸っぱいソースはケチャップではないらしい。しかし、日本人の味覚範疇でいうとおそらくケチャップなのである。興味深い。彼はこのステーキソースとケチャップを見事に分類している。ソースとケチャップに。しかし、私はこのステーキソースを美味しいケチャップと認識したわけだ。レアのステーキをケチャップで食べるという経験は初めてで、なかな面白い経験をさせてもらった。だがしかし、それはケチャップではなくステーキソースであるということだ。

真ん中においてある赤い瓶がステーキソースです。ケチャップではないとのこと。

ケチャップとテリヤキ

この時頭の中に浮かんだのは日本のことは大して知らない外国人がお好み焼きにかかっているソースを指して「このテリヤキソースは美味しいね」という感覚に似ているのではないかということだった。実際に、外国人がお好み焼きソースを指して、それをテリヤキソースと言った経験はないのだが、おそらく感覚的には近いのではないか。自分が経験したことがあるテリヤキソースの味覚的経験に基づいてその外国人はお好み焼きソースをテリヤキソースとして同定する行為。このようなことが今回、私にも起こったのではないかと思う。そもそも、私はアメリカのステーキソースをよく知らないし、そうしたものがあることも知らなかった。だから私はステーキソースを自分が知っている味覚的経験に基づいてケチャップであると感じた。もし、友人がこれは「ケチャップではなく、ステーキソースである」ということを教えてくれなければ、ステーキソースというものの概念が変わることはなかっただろう。

一緒に食べる人とのコミュニケーションが食を豊かにする

彼とのコミュニケーションがなくこれが「ステーキソースである」と知らなければおそらく私の味覚経験はステーキに合うケチャップという認識が生まれたに過ぎなかった。様々なバックグラウンドを持つ人や、その料理をローカルフードとして持っている人とともに食事をするということは自分にとって新たな認識や価値観を見つける上で重要なことなのではないかと感じた出来事であった。