「SL-700EX」が2023年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞

33年間変わらぬフォルムのJUKI職業用本縫いミシン

ロングライフデザイン賞とは
これから生まれるデザインの手本となりうる、時代を超えてスタンダードであり続ける商品・建築・コンテンツ・サービスなどを表彰。単に「長く残っている」ことを讃えるのではなく、暮らしの中で人々に愛され、これからも変わらずに存在し続けてほしいデザインと、そのデザインを生み出した人々を顕彰することを目的としています。

JUKI株式会社は1938年の創業以来「ものづくり」を社業として、工業用ミシン事業を中心に家庭用ミシン事業など、7つの事業を展開しています。
各事業の技術から生まれた製品は、衣服、靴、鞄などのファッションを始め、自動車のシート、エアバッグなどのノンアパレル商品、そして、スマートフォン、医療機器など電子基板を搭載したハイテク製品まで多岐にわたり、世界185カ国で使用されています。
昨年、JUKIの家庭用ミシンの一つである職業用本縫いミシン「SL-700EX」が、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。104件の審査対象の中から6件が受賞し、そのうちの1件にJUKIの職業用本縫いミシン(以下、職業用ミシン)「SL-700EX」が輝きました。
受賞した「SL-700EX」は、33年前に発売した職業用ミシン「TL-90」から一度もフォルムを変えることなく、ユーザーに寄り添った機能を開発・追加して進化させてきたミシンです。

1980年代までの職業用ミシン市場とJUKIの状況

職業用ミシンは、まだ既製服が普及していない時代に、オーダーメイドの服作りを請け負う仕立屋さんなどが職業的に使うことから、その名が付けられたと言われています。
JUKIでは1954(昭和29)年に職業用ミシンの初代機「TR-7」を発売、1976 (昭和51) 年には2代目「TL-72」、1983(昭和58)年に3代目となる「TL-82」を発売しています。この時代の職業用ミシンは、工業用ミシンと同じ鋳物でできて重量があり、またテーブルに固定されているため日常的な移動は困難で、重厚感がいかにも“プロ用”というものでした。

JUKI職業用ミシンの基点となった33年前に発売した「TL-90」

これまでの職業用ミシンを“プロ”だけでなく、“一般”へ普及させるきっかけをつくったのが1990(平成2)年4月に発売した「TL-90」です。
当時、プロを目指す服飾学校の学生などから、職業用ミシンの軽量・ポータブル化のニーズが起こり、さらに販売代理店からも“工業用ミシン世界トップのJUKIが作る職業用ミシン”への期待の声が高まっていましたが、JUKIには提案できる製品がありませんでした。
こうした背景があり、新しい職業用ミシンのコンセプトは、“軽量・ポータブル”で、“工業用ミシンの技術を搭載”し、かつ“スタイリッシュな外観”であることに決まりました。
当時の企画担当者も、「コンセプトが明確だったため、開発部門やデザイン部門もすんなりと受け入れてくれ、全員が同じベクトルで開発プロジェクトのスタートを切ることができた」と振り返ります。

他社では、軽量化のためにプラスチック素材を用いたミシンもありましたが、JUKIは軽量化を図りながらも、耐久性や縫いの安定化を実現できるアルミダイカストフレームを採用。細かいところまで形状を実現できるアルミ素材の特性を活かすことで、デザインの自由度も上がりました。

フォルムには、デザイン部門の強いこだわりが反映され、滑らかな形状や質感のあるデザインを目指しました。全体のフォルムは嗜好性に偏らずスタンダードなデザインにし、広い縫製空間を確保したフトコロ 、高さを抑えたボディ、面部カバーは上から下にかけて曲線形状を変化させたほっそりした針元、そしてミシン本体を支えるベッドは、船底のようなイメージに仕上げました。また、当時のミシンは、操作部がごちゃごちゃしていたため、触るのも戸惑うくらいだったため、ミシン全体のフォルムに内在させ、すぐに操作できるようなレイアウトにしました。
機能面での最大の特徴は、職業用ミシンに自動糸切り機構(縫い終わりにボタンタッチで上糸、下糸が同時に切れる仕組み)を搭載したことです。スタイリッシュなボディには、工業用の自動糸切り機構をそのまま組み込むことができなかったため、キーパーツは工業用ミシンのものを使用して品質を維持しつつ、コンパクトに収める工夫をするなど、開発においては様々な試作・検討が行われました。
こうして工業用ミシンと同様の機能を数多く取り込むことで、生地の送り力が強く、薄い生地から厚い生地まで、綺麗でしっかりとした「縫い目」を実現したJUKI初の軽量・ポータブルでスタイリッシュな職業用ミシン「TL-90」が誕生しました。
当時の企画担当者は振り返ります。
「企画通りのミシンが完成し”これは売れる”という自信の半面、高い目標を達成できるだろうかという不安があった」。
ところが、その心配をよそに、全国各地で開催した新製品発表会では、参加した方々から「期待以上のミシンだ」との大きな賞賛を受け、「TL-90」は販売計画の3倍を超える大ヒット商品となりました。

日本国内シェア7割を達成。究極の職業用本縫いミシン「SL-700EX」誕生まで、近年、手作りのバッグや革小物を通販サイトなどで販売する方が増えています。ハンドメイド市場が活況を呈する中、“売り物作品”として、「帆布や皮革生地などの厚い生地を用いた作品の品質を向上させたい」というユーザーの声に応える形で、2017年に「SL-700EX」を発売しました。

職業用本縫いミシン SL-700EX

工業用ミシンの技術を取り入れた職業用ミシンの最高峰。皮革や帆布縫いがより確実に、やわらかい薄地も美しく仕上がります。
厚地と薄地の両方を重視したハイブリッドな縫い性能に加えて、工業用ミシンの技術を取り入れた新機能がさらに充実。品質も使いやすさもハイスペックな、職業用ミシンの新スタンダードです。

■商品の詳細はこちら
https://www.juki.co.jp/household_ja/products/list/semipro/sl700ex.html

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