暮らしに溶け込む伝統工芸 – spice of life.
経済産業大臣指定伝統的工芸品 / 豊岡杞柳細工(とよおかきりゅうざいく)はコリヤナギを主たる材料として製作される木工品であり、中でも代名詞となる柳行李(やなぎこうり)は豊岡かばんの原点と云われます。 奈良県は正倉院宝庫。そこには日本のあらゆる宝物が保管されている。但馬産の柳行李もそのひとつで この事実から証明されることは、この伝統的工芸品には約1300年以上の歴史があるということです。 柳行李はコリヤナギを麻糸で編み込み、丈夫で非常に長持ちする。古来より類稀ぬ特別な箱。かつては国内外に輸出される豊岡 / 但馬地方(北近畿)の一大産業でした。
いつの日か伝統がまだ伝統でなかった時代。それらは人の営みに悠々と溶け込んでいて、なくてはならない物事でした。 そして現代のそれらは堂々と「伝統」を冠し、職人らは継承されてきた「特別な技」を有し、物販としては比較的高尚なものとなりました。
作家 / 加藤かなる
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会 会員
兵庫県杞柳製品協同組合 会員
1995 大阪府寝屋川市 出身
2013 ドイツ, フランクフルト へ単身渡独 (18)
2020 帰国後 兵庫県豊岡市にて伝統継承に従事する(25)
2023 自分堂 設立 (28)
INSTAGRAM https://www.instagram.com/kiryu_traditionalcrafts/
そんな伝統的工芸品がこの国には無数に存在し、中でも私とご縁があったのは兵庫県豊岡市 / 但馬地方を象徴する産業。 1300年の歴史ある工芸品、豊岡杞柳細工(柳行李)でした。 下積み時代に強烈に感じたこの業界の可能性と、相反する脆さ。後者は長年に渡り解決されない後継者問題の確かな根幹でありました。自分堂を設立した思い、或いは証明したいこと。それはこの遺物的文化の価値を再定義すること。この業界が失ってきた「職としての魅力」を再建すること。世界に誇る日本の伝統的かつ美しいものづくり、そこには日本人の確かな理念と営みが歴史を背景に存在する。ですが「伝統」を冠せずとも産業または事業というものは、アップデートしていかなければ淘汰されていく。至極当然だろうと思います。
向き合うからこそ生まれる自覚。見えた可能性。まだ見えない景色があります。
表現し続けることで、在り続けることで体現したいこと。
伝統のその先を、あるべき職人の姿を目指して。
柳のランプシェード
柳行李と同材のコリヤナギをヨーロッパ仕込みの技術でクリエイト。 シンプルな造形は置き場所を選ばず、未塗装生成り仕上げは時間経過と共に変化します。 電球(光量 / 電色)、スタンドデザイン、空間によってオリジナルのライトに。
【 素材 】 コリヤナギ
「伝統」を冠する業界は歴史に伴い非常に複雑なものです。 この世界に入ってからこの冠の意義や価値を考えてきました。職人としてどうあるべきなのか? ある信念が成り立った。ツギハギの延命はもう十分だろう、と。 下積み時代から沸々と感じていたこの思いをどうにか表現したかった。 この遺物的産業を在り方を再編成したい思いから、未来を見据えて創造し続けていくための作品。 豊岡杞柳細工を2.0へ ー
行履(ANRI)
【 素材 】 コリヤナギ、麻糸
【 サイズ 】 1000 × 900 mm (内寸)
上物の柳行李を初めて仕上げた時、最も惹きつけられたのは編み目の美しさでした。 「行李」とは箱の意味を指す言葉だが、そんなことに縛られていて良いものか? 人の心を動かすことは簡単なことじゃない。だけども人が全身全霊で表現する何かには 例え合理性に欠けていたとしても、誰かの心を動かす魅力が備わる。なぜなら魂が込められているから。 まるで日常の一切の行為のように。 ある種非常に無愛想な、写真でも絵画でもない柳行李の編み目。 額縁によって輪郭を与えることで、危うく空間に溶け込んでしまいそうなそれに命を与える。 さらに光が編み目に影を与え、空間全体に印象を生み出す作品。
KANAL KATO展
ORU SPICE オーナーコメント
spice of life という慣用句は、暮らしの中に新たな刺激を取り入れ、日々を豊かにする。そんな意味があります。
そして”spice of life”は、ぼくがORU SPICEとして活動する以前に名乗っていた屋号でもあります。
実際に自分が手に取った作品/作家さんをORU SPICEのお客さまにお伝えできればと思います。
豊岡にお住まいの方は「柳行李」をご存知かと思いますが、「柳行李」とは、コリヤナギを編みこんだ行李のこと。伝統工芸「豊岡杞柳細工」の代名詞。
今で言うところの旅行鞄や収納箱のようなものを指します。
豊岡市は柳行李の発祥の地で、そこから鞄の一大産地に発展をとげ「豊岡かばん」という地場産業になりました。
今ではノスタルジックな存在となった柳行李ですが、加藤かなるのものづくりは、コリヤナギの栽培から製作まで一貫して自らの手で行なう伝統的な技法を守りつつ、より多くの人に伝統工芸「豊岡杞柳細工」に触れてもらうため、ランプシェード、アート作品やお弁当箱など、現代の暮らしに溶け込むようなプロダクトにも力を入れています。
時間とともにゆっくりと変化する唯一無二のあじわいを感じてみてはいかがでしょうか。
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