【わたしの散歩道vol.3】川沿いの散歩時間

必要なのは 心の休息

日曜日の朝、目覚めてスマートホンでニュースサイトをチェックして唖然とした。
TVをつけると、ニュースはその話題一色だった。
SNSも40歳で死去した日本を代表する女優の名前で埋めつくされていた。
ニュースによると、2020年9月27日の午前2時ごろ、自宅のクローゼットの中で意識不明となってくっだりしている彼女が発見されたという。その10分ほど前まで夫と会話をしていたとか。

その女優の名は「竹内結子」だった。

昨年、調査された彼女が出演し印象に残っているドラマランキングでは、1位「ストロベリーナイト」、2位「ランチの女王」、3位「ムコ殿」、4位「 プライド」、5位「ダンダリン 労働基準監督官」となっている。

調査方法:10~60代の男女を対象に、株式会社CMサイトが行ったインターネットリサーチ結果を集計。有効回答者数:15,806名 調査日:2019年1月11日
https://rankingoo.net/articles/entertainment/20190118-2

私は熱狂的な彼女のファンというわけではないが、「ランチの女王」以来、彼女が主演する映画やドラマに惹かれ、だいたいチェックしているし、あまり邦画を見ない私でも「いま、会いにいきます」は、お気に入り映画の1作品である。

2020年、新型コロナウイルスが、世界を襲い、日本の芸能人たちの感染者のニュースが出始めたころ、国内の感染者が急増していた。そしてここ最近、芸能人の自殺のニュースが後を絶たなくなったと思い、調べてみると国内の自殺者が増えていた。芸能人であることで人々は他人事のようにニュースを眺めているが、芸能人はただ目立っているだけで、一般人の自殺者も増えているのである。警察庁のウェブサイトに掲載されている「令和2年の月別自殺者数について(8月末の暫定値)」によると、8月中に発見された自殺者のうち、男性は1203人、女性は651人と、昨年の同月の数を上回っている。新型コロナによって自粛を強いられていた時期、日本の自殺者は一時減少していた。社会から距離を置くことによって、ストレスがなくなったからだと言われていたが、6月から少しずつ増加傾向にあるようだ。
今の生活や仕事に対する不安感、将来への悲観的な考えなど、さまざまな原因は考えられるが、「命を自ら絶つ」理由は本人にしかわからない。無責任な憶測で原因を並べるメディアを信じてもしかたがないだろう。
私たちは、新型コロナウイルスのパンデミックになってから、コロナから自分や家族を守るため何か対策をしていかなければならない、社会を守るために何かしなければならないと、常に気を張り詰めながら生活してきたのではないか?
4月の全国的な自粛の際は、この自粛が終われば、コロナも終わると多少期待をしていたのではないか?しかし、現実は、いつ解決するのかわからない。
「with コロナ」という言葉が生まれ、私たちはしばらくこのウイルスとつきあっていくことがわかってきた。ワクチンや特効薬が世に出回るまではどれくらいかかるのだろう。
もう「なんとかしなければ」ではなく、極端な言葉で表現するなら「なにもしない」という選択をしてもいいのではないだろうか。
私たちができることは限られている。手洗い、うがい、消毒、ソーシャルディスタンス。
コロナの解決策は、頭の良い専門家の人たちが、きっとそのうち考え出してくれる。そう信じて、今、自分ができることだけやっていこう。気を張り詰めたままでは、心がどんどん荒み、淀んでいくばかりだ。

久しぶりに近所を散歩してみた。川沿いを歩きながら、秋の気配をカメラにおさめていった。
どんなに世の中がコロナに蝕まれようとも、季節はなんの関係もないかのように移ろっていく。

雲の流れを眺め、風を感じ、水の音に耳をすませてみよう。歩道を埋めていく色づいた葉は、秋の訪れを気づかせてくれる。
心を休める時間が私たちには必要だ。

コラム:JIMMY

伊集院 遥
人生の移ろいを感じながら、風のように生き、雨のように歌い、太陽のように人を照らしたい。