【MUSIC COLUMN】歌い継がれる理由ー私が生まれてきた訳ー

エンターテイメントに救われる日々に感謝を

「私が生まれたきた訳は、父と母に出会うため」
このフレーズは、2009年に発売された さだまさしのアルバム『美しい朝』に収録された『いのちの理由』の歌い出しの部分です。この歌は、クリス・ハート、平原綾香など多くのアーティストによってカバーされていますが、私が知ったのは、岩崎宏美のカバーアルバム『Dear Friends VI さだまさしトリビュート』の収録曲としてです。

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なぜこの曲に私が惹かれたのかというと、生きていく中で、問題につまづくたびに、自分に問いかけていた「何のために生まれてきたのか?」「私が生まれた理由は?」という思いと、この曲の歌詞が重なったからかもしれません。
決してそんな仰々しいものではなく、ほんとに漠然とした思いなんですが、これは私だけではなく誰もが抱えている言葉では表現できないモヤモヤの一つではないでしょうか。そして何よりも単純にいい歌だったからです。
特に岩崎宏美という類稀ない歌唱力と歌声を持つアーティストが唄うと、なおさらいい歌になって胸の奥にグイグイと入り込まれてしまいます。

この世に生を受け、父と母のもとで育ち、誰かを傷つけ、傷つけられながら生き、友だちに出会う。締めくくるフレーズは「私が生まれてきた訳は、愛しいあなたを護るため」。愛しい人と巡り合い、その人を護ることが、生きる理由だと知る。本当に素敵な歌詞です。

日本にはたくさんの名曲があります。もちろん大ヒットした歌もありますが、世代を超えて歌い継がれているものの中には、売り上げ的には低いものの、その歌詞やそのメロディが人の心をガッツリ掴んでしまう楽曲があります。毎年、年末の歌番組を締めくくるあの名曲『天城越え』は、オリコン調べでは最高位46位ですが、のちのち石川さゆりが歌うたびに人の心に響き続け、「この歌を聞かないと年が越せない」くらいの気持ちになってしまいます。そして歌もそれを唄う歌手も偉大になっていくーー。数字では決められない世界がそこにあります。

コロナ禍で会いたい人にも会うことが難しくなり、行たい場所にも自由に行けなくなり、おうち時間が増えた時、私を助けてくれたのは、音楽や映画でした。エンターテイメントの力が、どれほど枯渇した気持ちを潤し、元気を与えてくれたことか!

このパンデミックを克服できたとき、私はライブに行きたい。クラブで音楽に身を任せたい。そして愛しい人、大切な友だち、支えてくれる家族と一緒に音楽を聴きながら時間を過ごしたい。

私が生まれてきた訳は、愛しいあなたを護るため。
私が生きる理由は、愛しい人と一緒にいるため。

岩崎宏美 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCAyDqVzzsGZ586aHDCQ7nQg

伊集院 遥
人生の移ろいを感じながら、風のように生き、雨のように歌い、太陽のように人を照らしたい。