シンプルないちごショートケーキが食べたいと思った、伊勢丹で。

ケーキが食べたくなる時がままある。

帰り道に新宿伊勢丹でケーキを買って帰ろうと思った。なんのケーキがいいかを考えながら丸ノ内線の地下道を進んでいく。焼き菓子もいいが、久しぶりにシンプルないちごショートケーキが食べたいと思った。

いちごショートケーキはどこにいった?

伊勢丹の地下1階につくと、スイーツの店舗を回ってみる。イチゴショートはどこにあるのか。ところが、なかなか見当たらない。たくさんのケーキが売っているにも関わらず、いちごショートはなかなか見当たらないのだ。凝った作りのタルトやミルフィーユのものは多いが、ショートケーキはみあたらない。

伊勢丹の定番だから買わない店舗でアンリシャンパルティエというものがある。そこに自分のイメージするイチゴショートに近いものが売っていた。だから、そこで(しかたなく?)購入した。

「変わったもの」を求める心理と「定番」が欲しい心理

「やっぱり、新宿駅に戻って、HERABSの大きなイチゴショートケーキを買って帰ろうか」と迷った。たが「時にはアンリシャンパルティエも食べてみよう」と思った。伊勢丹を回って思ったが、技工やトレンドの最先端を目指すスイーツ業界にとって、素朴でありながらシンプルなものを提供していくということはあまり注目されにくいのかもしれない。スイーツ1個の値段もかなり値上がりした。「ちょっとスイーツが食べたい」ということで、スイーツ専門店のケーキを食べるということが「ちょっとした贅沢」になっているというのもあるかもしれない。「ちょっとした贅沢」ならば、「ちょっと変わったものを」という心理だ。もちろん、SNSでの映えも目的としているからこそビジュアルに凝ったものが好まれる傾向もあるのかもしれない。

しかしながら、いつの時代も定番というものは常にある程度の価値を提供しているし、我々はそれを求めているのかもしれない。

アンリシャンパルティエといえば

アンリシャンパルティエは兵庫県芦屋市に本店があるお店だ。もともとは喫茶店であったが、業態拡大の中でケーキ屋さんをしたという経緯があったと思う。そういう意味において神戸スイーツの中ではちょっと「特殊」な変遷をもっていると感じている。森元 伸枝(2009)『洋菓子の経営学―「神戸スウィーツ」に学ぶ地場産業育成の戦略』プレジデント社には神戸スイーツについての変遷がまとめられているので興味があるんならば一読してみると、スイーツの見え方が変わってくると思う。

GORILAX
コラムニスト ふと湧きだす好奇心から、いろんなセカイを巡るのが好き。実際に現地に足を運んで、海外のイベントや食、文化についてのコラムを執筆したり、国内の「面白いもの」について紹介していきます。社会学、文化人類学の視点からもアプローチしていきます。