許されない愛に苦悩する二人のカウボーイ
5月8日(土)夜7時～ BS12 トゥエルビで放送
LGBTという言葉が今ほど語られていなかった頃、2005年『ブロークバック・マウンテン』は、アン・リー監督によって製作された。
この映画は1960年代の米国西部ワイオミング州を舞台にした愛し合う２人の男性が主人公。イニス（ヒース・レジャー）とジャック（ジェイク・キレンホール）の２人の青年は、ブロークバック・マウンテンで放牧している羊の見張りに雇われる。ある夜、ジャックがイニスを誘い、２人は関係を結んでしまう。その後２人は別れ、いずれも結婚して父親になる。だが、４年後に再会し、お互いに本当に愛し合っているということを確認する…。
許されない愛、しかしひかれ合い、抑えきれない気持ちがあふれ出してしまう。
台湾生まれのリー監督が果敢に挑んだこの作品が、ベネチア国際映画祭金獅子賞をはじめ世界各国で高い評価を得たのは、21世紀の映画史において輝かしい出来事だった。普遍的なラブストーリーとして高く評価され、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞等で数多くの賞を受賞した。
この作品で一躍スターになったレジャーの寡黙で泥くさい魅力は抜群だ。男性との初体験のシーンもきごちなく、どうやって愛情を表現していいのかわからない表情やしぐさが見ていてじんわりと伝わってくる。
さらにどこかもろさを感じさせるギレンホールも素晴らしい演技を披露。普段はプレイボーイ的な装いをしてきた彼が、まるで初めて恋をしたようにイニスを待ち続ける、愛するがゆえに冷たくもしてしまう。そんな不器用な愛し合う二人についつい感情移入し、いつの間にか心を奪われてしまう。
夫の秘密を知って苦しむ２人の妻役のミシェル・ウィリアムズは、夫が同性愛者だと知ってしまった時の愛情と憎悪と嫌悪感が入り混じった演技は圧巻。一方、アン・ハサウェイのビッチぶりはスッキリするくらい印象的だ。映画公開から３年後、レジャーは薬物中毒で28歳の若さで死去してしまう。ウィリアムズとのロマンスと破局などのエピソードも加わり、『ブロークバック・マウンテン』という映画は、より伝説化されていった。
LGBTについてオープンになったと言われる、ダイバーシティなど一人ひとりの個性について尊重する風潮が叫ばれる。パートナーシップ制度を導入する自治体も増え、次々に同性婚を認める国も現れた。しかし、根本のところでは、まだまださまざまな壁が存在し、多くの問題が山積みされていることは確かだ。しかしながら『ブロークバック・マウンテン』は、ぜひとも純粋なラブストーリーとして観ていただきたい。本物の愛がきっと浮かび上がってくることだろう。
『ブロークバック・マウンテン』
■監督：アン・リー
■出演：ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、アン・ハサウェイ、ミシェル・ウィリアムズ ほか
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「ブロークバック・マウンテン」5月8日（土）よる7時～BS12 トゥエルビで放送
全国無料放送のBS12 トゥエルビが、5月8日（土）よる7時より『ブロークバック・マウンテン』（2005年・米）を放送。
■番組HP：https://www.twellv.co.jp/program/drama/doyou-youga/
■BS12 トゥエルビについて■
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