性別にとらわれない保育を!保育用品「ジェンダーニュートラル・個人マークシール」がクラウドファウンディングに登場

興味深いクラウドファウンディングをみつけた。

LGBTQの保育士がプロデュースする、ジェンダーニュートラルな保育用品開発プロジェクト!第1弾は、保育園での必需品「個人マークシール」を製作します。SDGs時代を担う子どもたちにはより自由な選択で個性を発揮してほしい。全ての子どもたちにとってジェンダーニュートラル(中立的)な商品開発に挑戦します!

多くの場合、女子にはウサギ・リボン・ケーキなど、男子にはライオン・消防車・カブトムシなどの「個人マークシール」が割り振られ、それらは帽子入れやロッカー、下駄箱に貼り付けられます。

例えば、ライオンを割り振られた男子。「〇〇くんのお靴はどこだった?ライオンさんマークだったね」など生活習慣の中で繰り返し確認が行われるため、“ライオン=自分”の認識が深まります。この認識によって、ライオンからイメージされる逞しさやワンパクさなどを「男の子らしさ」として身につけていく可能性が考えられます。

もちろん、男子の「男の子らしさ」を批判したいわけではなく、それも子どもの一つの個性として受け入れられるべきものです。一般的には、「女の子らしさ」「男の子らしさ」は生まれ持ったものと思われていますが、果たしてそれだけしょうか?「女の子らしさ」「男の子らしさ」の情報や性別役割意識について、子どもたちは周囲の環境から後天的に学び取っていることが、乳幼児のジェンダー研究で明らかにされています(藤田由美子2015、大滝世津子2016)。そうであるなら、周囲の環境が重要です。

https://camp-fire.jp/projects/view/522850?list=search_result_projects_popular

これ、面白いなと素直に思いました。自分の個人的な体験なのですが、以前イベントでバルーンアートを子どもに作って配るという仕事をしたことがあります。子どもたちにには「自分の好きな色」を選んで、「何を作って欲しいか」を聞いて、バルーンで犬やうさぎ、剣などをつくっていきます。

子どもたちの興味関心、好きな色や欲しいものは多様性があるのですが、度々みられたのは、その選択に対する親の介入でした。青色を選んだ女の子に対し、「ピンクの方が可愛いからピンクにしようよ」とピンクにするように促す親もいれば、赤色を選ぶ男の子に「男の子だから青じゃない?」と言う親。「剣を作って欲しい」という女の子に対して「女の子だからプードル作ってもらいなさい」という親や、「ウサギがいいという男の子に対して「剣じゃなくていいの?」と言う親などなど「固定的」でステレオタイプな価値観を子どもに押し付けがちなやりとりをよくみました。

こうしたことはもしかすると親が単に心配性なのかもしれません。「黒い風船で犬を作って欲しい」という女の子の親が「黒を選ぶ子っています?大丈夫ですかね」とわざわざ尋ねてきたこともあった。「黒い犬は普通のことですし、黒が好きなんてファッションとかのセンスが良さそうなお子さんに育ちそうですね」と言うと安心していたが、親は自分の子どもに対して過剰に心配して、つい余計なことを口に出してしまうのかもしれない。

この名前シールは、そうした親のつい余計ないことを口に出しにくいという点でとても優れたものであると思う。なぜならば「男の子らしさ」といった「○○らしさ」を想起しずらいものであるからだ。自分の欲しい物、なりたいものに対してありのままの思いを反映できる社会をつくるうえで、こうした細やかな工夫は長期的に行うことで効果を発揮するのではないかと思う。継続的に行うことでそれは「普通のこと」として定着していくからだ。

そういえば、初年度は「女の子が青色を選ぶこと」を止める親はちらほら見かけたが、翌年からそれが激減した。というのも大ヒットした「アナと雪の女王」の色が青や紫だったから。ちょっとしたことだが、女の子が青系のものを持っても良いという認識が「あたりまえ」になってきた出来事だった。もしかしたら今は、女の子が剣をもつのも「あたりまえ」かもしれない。「鬼滅の刃」の大ヒットによって。

子どもたちの価値や社会の価値は緩やかに変貌するし、多様性を深めていく。そうした社会で「ありのまま」の自分みつめることができるようになる、些細ではあるけれど実はその土台を作る上で重要な工夫なのではないかと思う。

性別にとらわれない保育を!保育用品「ジェンダーニュートラル・個人マークシール」

https://camp-fire.jp/projects/view/522850?list=search_result_projects_popular