東京に住み始めて失ってしまったもの。

早いもので、東京に住み始めて半年が経とうとしている。そしてコロナによる活動制限も緩和されて、様々な場所でイベントが開催され、多くの人が遊ぶ機会を増やしてきている。

もし、いま、まだ地方に住んでいたら、東京へこのGWは遊びにでかけていたのだろうか。おそらく東京には行っていなかったかもしれないが、県外に遊びには行っていたのではないかと思う。それほど東京は遠くコストパフォーマンスが悪い観光地であるという印象もある。東京への交通費、宿泊費を考えると長期休暇に遊びに行ったとしてどれだけの費用が必要かを考えると「行くタイミング」というものが重要になる。

いつ東京に遊びに行くかということを考えることは嫌いではない。むしろ、ワクワクするし、想像を掻き立てられる。東京でどこに行き、そして、誰と会うか。そうしたことを考える時間は価値ある時間だと思う。こうした、休日をより効率よく遊び回るための予定づくりというものを、ここ最近はしなくなってしまった。都心に住んでいるので、行きたいところへはすぐに行けるし、会いたい人ともいつでも会える。むしろ「いつでもできる」ということが逆に起動力を下げてしまっているとも言える。また今度できるから、またその企画展の会期は余裕があるからといった具合に予定を先回しにしてしまい、結局行けずじまいということもよくある。

都心に住むと計画を立てることなく思いつきで動くことができる。だから計画を立てる楽しみを得る機会が減ったと思う。もちろん東京へ旅行で来た際に拘束するもの、例えばホテルのチェックインやチェックアウトの時間、帰省する便の時間といった時間的な拘束はなくなったし、目的地に行くために数万円の交通費を支払うこともなくなった。このコストを他のことへ移すことができるという点は価値あることなのだが。あの、計画を立てるためにサイトを調べたり、現地で会う人とのアポを取るということ、ワクワクしながら飛行機に乗り、着陸前の東京をみて思いを馳せるといった感情的な輝きは当分は訪れることはないのだろうなと思った。