果てしなく遠い道を進んだら、夢は見つかりますか?

認め合うことが世代を超えたコミュニケーションのコツ

「何かやりたいことはないの?」「趣味でも見つければ生活が楽しくなるよ」これは、無気力な若者たちに、私たち大人世代がよくアドバイスする言葉です。もっとおせっかいを全面に出すとしたら「仕事にやりがいが持てないなら、新しい職を見つけてみたら」「何か資格でも取って頑張ってみたら」と続くわけですが、やりがいとか、夢中になることなど、そう簡単に見つからないことは、長く生きてきた分、ガッテン承知なのに、なぜ大きなお世話を焼いてしまうのでしょうねw
夢を持って生きろ!と唱えられ続けて育った世代にとっては、今どきの若者たちのライフスタイルは、虚無感ばかりが目についたり、排他的な考え方のように映りがちです。しかし、果たしてそうなのでしょうか?
Z世代と呼ばれる若者たちは、職場での出世とか、キャリアを上げていくということよりも、いかに自分時間をつくりながら豊かな生活スタイルを築いていくかを重視しているのではないかと考えます。もちろんここで言う「豊かな生活スタイル」は、私たち大人が想像するものとは違います。例えば、友だちとオンラインでゲームをしたり、アマプラやNetflixで映画やドラマを見たり、YouTubeで新しいパフォーマーを探したり、サブスクでお気に入りの曲を集めてプレイリストを作るとか、そしてSNSでつぶやくとかでしょう。Z世代にとってコロナ禍で常識になったステイホームの中で培われたネット環境こそが生活の豊かさに直結するのかもしれません。たまには「映え」情報を見つけて、映えるパフェを食べに行ったり、映えるロケーションに出かけて写真を撮る人もいるかもしれませんが、きっとその人たちは、ごく少数のいわゆる”意識高い系”の人種かもしれませんね。
君の行く道は果てしなく遠い♪というフレーズがあります。遠いからこそ、目的に地に向かって頑張って進んでいくという思考を今どきの若者に押しつけても、きっと何も響かないでしょう。逆に響かせようとする大人のエゴとして受け取られるかもしれません。
「やりたいことがないことは間違っている」という考えを、私たちはちょっと改めた方がいい。自分を見つめ直してください。常にやりたいことがありましたか?夢を追って生きてきましたか?「今どきの若い子は…」と否定できるほど立派なニンゲンになっていますか?
さまざまな世代のライフスタイルを認め合いながら、私たちは人間関係を運営し、共感できる小さな点をお互いに探りながら、その点を通じてコミュニケーションをとり、楽しんでいくことがうまく生きるコツ。それを掴んだら、ちょっとだけ夢の話をしてみてもいいかもしれませんね。その前にあなた自身の夢を見つけないといけませんけど。

伊集院 遥
人生の移ろいを感じながら、風のように生き、雨のように歌い、太陽のように人を照らしたい。