「いかがわしいマッサージですか?」と
訪問マッサージ師の悲痛な声が急増。
2018年7月東京都世田谷区の自宅で30代の女性に性的な暴行をした疑いがあることが分かり、俳優が逮捕された事件をきっかけに、訪問マッサージが如何わしいマッサージと誤解されているという深刻な社会問題が起こっており、日本訪問マッサージ協会のもとに現場で働くマッサージ師からの悲痛な声が多数届くようになりました。
『派遣型マッサージ』=『いかがわしい』というイメージ
「派遣型マッサージ店って時点でそりゃ裏オプションあるでしょ。」
「派遣型っていうからデリへルって勘違いしたよ。」
「暗黙の了解でしょ。それ店側も分かっててやってんでしょ。」など、
ネット上では逮捕された俳優を擁護するかのようなコメントが多くみられました。また、派遣型マッサージと訪問マッサージが同じサービスだと理解している人が多いのも事実です。
派遣型マッサージ・訪問マッサージの違い
派遣型マッサージとは、依頼者の自宅や宿泊先にセラピストを派遣し、リラクゼーションマッサージをはじめとする様々な手法で施術を行うもの。マッサージの種類は、整体やカイロプラクテック・アロマやオイルまたはリンパを流すマッサージ、さらに指圧やあん摩といった様々な種類のマッサージが該当します。
派遣型マッサージ店は性的サービスなどは一切行わない健全店であり、出張マッサージを行うセラピストは数ヶ月の研修をうけた、エステやセラピーの経験者、有資格者が多いです。
一方、訪問マッサージは、筋肉の麻痺、関節の拘縮などで歩行困難、寝たきり状態の方を主な対象としているのが訪問マッサージ。国家資格である、あんまマッサージ指圧師の有資格者が、自宅や高齢者施設などに出張し、施術を行います。
風俗産業の多様化が原因?
全国保険医団体連合会(保団連)は2007年に、全国で約4万5千人の脳血管疾患の患者様のリハビリが打ち切られたというデータを発表しました。そのデータ公開から6年経過した2013年では、全国200万人の「リハビリ難民」がいるとも言われています。
訪問マッサージは単なる疲労回復のための慰安マッサージではなく、身体機能の回復を目的とした、リハビリ的要素の強いマッサージです。
派遣型・出張型・訪問、すべて真っ当な職業ですが、風俗業と混同されてしまう昨今。その背景に男性向け性風俗産業が店舗型・派遣型を含め多様化を続けているといったことが考えられます。
現場で働く訪問マッサージ師の悲痛な声が急増
日本訪問マッサージ協会のもとに、上記のような風評被害を感じている現場のマッサージ師から悲痛な声が届いています。
「患者様から、あなたのところは変な所じゃないわよね?と確認の電話がかかってきた」
「これを機に、あはき((あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師))や柔整などのマッサージ(医療)も報道されたらいいなぁと願いますね。」等多くの声があります。
事件後から患者や家族から不審がられたり治療をいったんストップしたいとの申し出があったりと影響が出ているのが現状です。
こういった社会の中にある誤解は、こちらからアクションを起こさなければ消えることはないと考えます。
訪問マッサージを必要としている患者の人たちのためにも、現場で働くマッサージ師のためにも、「訪問マッサージ=いかがわしい」といった誤解を解いていかなければなりません。